2012年4月6日金曜日

パソコン周辺以外の買い物


パソコン周辺以外の買い物
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<未確認情報を多く含むこの上なく乱暴な話なので厳重に注意>
<この記事は書きかけです>

パソコン周辺以外の、買い物に関するあれやこれや。

重要な注意
買い物の結果に責任は持たないよ。急がば回れの録音のページにあるお金が絡む話題についての項も参照のこと。

筆者が実際に使っている機器については、ローコスト制作の感想コーナーで紹介している(音声サンプル)。また、一部の機器(現在は使っていない古いものや、筆者の所有でないものも含む)はローコスト制作のハードウェアのページ(とそこから辿れるリンク先)に音声サンプルを掲載している。エレキギターや周辺機器に関する一般的なTipsは急がば回れのエレキギターのページを参照。

以下は2011年7月現在の情報を元にしている。また、筆者が実物を見たこともない製品についても、カタログ情報を鵜呑みにして取り上げている。

筆者はどの楽器についても「初心者以前」の腕前でしかないのであしからず。コストパフォーマンスは数が出るものほど(あくまで「期待できる」というだけではあるが)有利だということを覚えておきたい。楽器は「現物を手に持ってみてから」買うのが原則。電子楽器なら「同じ機種の別の製品」でも騒ぐほどの誤差はないかもしれないが、アコースティック楽器の場合「自分が買う個体」で確認したい。

どこのメーカーだからどうだとか値段がいくらだからこうだとか材料がなにで仕様がこれだからああだとか騒ぐよりは、自分の手で触れて「ああなるほど」と思えるものを選んだ方がシアワセなことが多そうに思える(もちろん、それで失敗することもあるだろうが、どんな選び方をしても失敗することはある)。

方針のようなもの

筆者はハードウェアやソフトウェアの細かい差異にかなり冷淡(その代わり好き嫌いには情熱的、だと思う)で、楽器にしても同じ種類のモノなら「だいたい似たような演奏」はできるだろうと考えているため、以下の紹介は一般的な楽器の紹介とは少し趣向が異なるだろうと思う。この態度は乏しい経験からひねり出したものに過ぎず、一般にどこまで通用する話なのか筆者は知らない。

たとえば筆者がギターを弾く場合、自宅ではエレキしか弾かず(というかエレキしか持ってない)、リハスタではエレアコ(レンタルの都合でオベーションとかタカミネとか:太っ腹なことにどちらもエントリーブランドやパチモノではなく本家のレギュラーラインナップ)も弾くが、楽器が変わったからどうのこうのというシチュエーションに出会ったことはない(筆者が度を越えて鈍感だという可能性は否定しないが、道具にはけっこうウルサイ方じゃないかと自分では思っている)。

もちろん、弾きにくい楽器やノリが合わない楽器というのは誰にでもある。しかしそれは楽器の性能や特性ではなく、結局「その人に合うか合わないか」「好きか嫌いか」の問題で、実際に弾いてみる以外に情報の得ようがない。どれだけ数字を並べても、もっともらしい根拠を積み上げても、手や身体に馴染む馴染まない、演奏のフィールに近い遠いという問題は厳然として消えない。自分の手には馴染まない「憧れの楽器」をどうしても使いたい人も一定数いると思うが、自分の手に馴染む楽器で練習してから(あるいは練習しながら)憧れの楽器に挑戦した方が、きっと効率がよい。

結局筆者は「楽器が多少変わっても、自分に合わないものだけ避けておけば、そんなに大げさに騒ぐことはないんじゃないか」という立場にいる。上達して、その機種やモデルに特有の操り方を突き詰める段階になれば話は別だろうが、その段階に到達する以前に「楽器の種類に共通の操り方」を相当レベルまで身に付けねばならず、それが身についた頃には「自分の演奏に何が必要か」という情報が今よりはるかに増えているだろう。

以下の紹介は、そういう思考の持ち主が書いたものだということを念頭に読んで欲しい。

エレキギター

代表機種にフェンダーのテレキャスターとストラトキャスター、ギブソンのレスポールがあり、エントリー機種の大半はいづれかのコピーモデルになっている。一番数が出ているのはストラトモデルだと思われる。

最初からアレだが、エレキは「試してから買え」としか言えない。エレキギターというのは変態的なデザインのものしかない(復刻版的な機種ならなおさら)ので、どうしたって合う合わないの問題になる。レンタルも豊富だし、エレキギターが上手い人の家に行くとたいてい全部揃っているので、少なくとも上記3種類は(可能ならSGも)試してから買うのが無難だろう。それ以外では、ヤマハのPACIFICAシリーズが(世間的に大人気ではないようだが)相変わらず合理的なので、予算に多少の余裕があれば選択肢になるかもしれない。ボディやネックの形状とか、ツマミ類の位置や大きさとか、手に持ってみないとわからない仕様がけっこうある(同じような機種でも、コピー元モデルの年式やメーカーの方針などで変わる)し 、素の天然材料(たいていのギターには木が使われている)には必ずバラツキがある。似たモデルを知っているから大丈夫ではなく、自分が実際に買う個体を手に取って確認しておきたい。

誤解されがちな点として生音の鳴りがある。生音がよく鳴るということは弦の振動エネルギーが空気中に多く逃げているということなので、ピックアップで電気に変換する効率は落ちるのだということを理解しておきたい(ボディからのフィードバックによる整形作用と引き換えになる)。また、弦の振動が効率よく空気に伝わるということは、空気の振動が効率よく弦に伝わるということでもあり、結局ハウリングしやすくなる。ボディが鳴るソリッドエレキギターというのは結局、セミアコやセミホロウに近い音になる(アコギに近い音になるわけではない)。といった点は押さえておいた方がよいだろう。

もう1つ誤解されがちな点としてデットポイント(音詰まり)も挙げられる。ブリッジからピックアップまでの距離や、ダブルコイルやハーフトーン接続であればピックアップ同士の距離によって、出力されにくい周波数がある(ボディやネックの特性として特定周波数が鳴らないことももちろんあるので必ずそれが原因だとは言えないが、弦は良好に振動しているのにピックアップが拾っていない状況と、弦の振動自体が鈍い状況は区別して考える必要がある)ということに注意したい。さらに、弦が振動する角度でも、同じ振幅に対する出力が変わる(あくまで磁束に対する振動の角度が問題なので弦がポールピースのど真ん中を横切っている必要はない)。弦が1本丸々鳴りにくい場合、アジャスタブルポールピースなら簡単に調整で� �る。参考までに、復刻系のストラトなどに採用されるスタッガードポールピース(段差付きの固定ポールピース)では、5弦と2弦を低く、4弦を高く調整してあることが多い(3弦はワウンド弦用かプレーン弦用かで異なる)。

筆者としては、ローエンドでアーム付きの機種はちょっとパスしたい(普通の機種ならアーム自体は取り外せるが、チューニングの安定性や故障率の点で、アームなしよりも明らかに不利なので)。ローエンドだとピックアップのコイルが全部同じゲインという状況を求めにくいため、独立可動のアジャスタブルポールピースだと便利だろう。テレキャスタイプの場合、弦長調整(オクターブチューニング)を2本の弦で共有する3wayブリッジ(というか3wayサドル)のものはちょっと不便だろう(それが楽器の味を生んでもいるのだが、筆者はメンドクサイのが嫌いである)。またボディとネックのジョイント方式(ボルトオンとかセットネックとか)が注目されることは比較的多いが、傾斜ヘッドのギターではその前にナット周辺での接木� ��スカーフジョイントと呼ばれる形式が多い)の仕様を確認しておくべきだろう。

世間的にはどうでもいい話なのだろうが、筆者はトップジャック(表板側にジャックがある)の機種が好き、というかサイドジャック(側面にジャックがある)は座って弾くとき邪魔なので嫌いである(実用面を考えても、トップジャックにL字プラグを挿した方が抜けにくくていいと思うのだが)。エレキでなくエレアコだが、オベーションのボウルバックはあんなにアグレッシブな位置にジャックがあるのに、なぜか干渉しないから不思議である(体格やフォームにもよるのかもしれない)。

筆者のぶっちゃけた見解

全部変態仕様なので、テレタイプとストラトタイプとレスポタイプを全部試してから好みで選ぼう。アームレス(固定ブリッジ)でアジャスタブルポールピースだと無難だが、選択肢が狭まる(手軽に手に取って試せるものと考えるとレスポがダントツ、ついでSGやテレのピックアップ変更モデルあたりか)のでお好みで。

筆者の感想

テレはボリュームとセレクターが邪魔、ストラトはアームが邪魔、レスポはボディが邪魔。どれでも音は大して変わらないような、そうでもないような、やっぱり大差ないような、まあアコギじゃないんだから弾きやすさで選ぶのが吉なのではなかろうか。

アコースティックギター

鉄弦の代表機種にマーティンのD系(ドレッドノート)と000系、ギブソンのJ系(Jumboシリーズ)がある。エレアコはタカミネやオベーションが有名。エレガット(ナイロン弦のエレアコ)を大きく扱う大手メーカーは少ないが、ヤマハやタカミネが比較的多くラインナップしている。

他のページでも触れたが、ピックアップ付きのアコギとエレアコの違いは、生音とピックアップ出力のどちらを重視しているかの違い、エレキとエレアコの違いは、アコギっぽさを追及するかどうかの違いだと考えてよい。すでに触れたように、生音とピックアップで拾う音は別物で、割り切って片方だけ重視した方が限界パフォーマンスもコストパフォーマンスも高めやすくなる。ごくたまに見る誤解だが、エレアコはアコギの代用には(ムリを押し通せば)なってもエレキの代用には普通ならない。

録音ではエレアコでアコギの代用をするメリットが限定的(アコギともエレキとも異なる「エレアコの音」が欲しい場合や、録音場所の都合でマイク録音が厳しい場合などには適する:録音の難易度としてはエレアコを使った方がかなりラク)で、PAを使わない生演奏ではほとんどメリットがない。また筆者の感想に過ぎないが、エレアコとしての機能に徹した機種(筆者が触ったことのあるものではオベーションのリーフホールモデルなど)はアンプラグドで弾くとあまり楽しくない(その代わり、デカいアンプに繋いでジャカジャカやると楽しい)。

音が小さいモデルも需要がけっこうあると思われるが、これはなかなか難しい。筆者はARIAのSinsonido(鉄弦)を借りっぱなしでメイン使用していたことがあるが、一般的なエレキギターに比べると生音がかなり出た。ヤマハのサイレントギターでさえ「一般的なアコースティックギターに比べて、音のエネルギーでは100分の1、音量では10分の1(当社比)」(2011年9月現在の公式サイトより)らしく、音圧10分の1=仕事率100分の1=-20dbの意だろうから、少なくとも鉄弦モデルはそれなりの音量が出ると思った方がよい。


オレンジ色の塗料を作る方法

サイズが豊富なので自分の体格に合うものを選ぶべきだが、小柄大柄だけで決まるものではないので、やはり実際に手に持ってみるべき。また、小型で奏者との接触が密なアコースティック楽器なのでどうしようもないのだが、奏者に聴こえる音とリスナーに聴こえる音(orマイクに届く音)は大きく異なるし、聴く場所やマイキングによってもかなり違った音になる(また当然、鳴らす部屋や場所によっても音色は大きく変わる)。なお、マーティンのアコギなど一部の製品に「数年使い込んでオーバーホールをしてさらに1年くらい使い込んだ状態」ではじめて「本来の音」が出るよう設計されたものもある。

筆者のぶっちゃけた見解

アコギもエレアコもナイロンも、ヤマハの一番安い機種に手が届かないなら、値段だけ見ながらいくつか手に持ってみて選ぶのがよさそう。エレキと比べて「出音が気に入ったもの」を選ぶ価値が高いが、奏者に聴こえる音とリスナーに聴こえるorマイクが拾う音は大きく異なることに注意。

エレキベース

代表機種にフェンダーのプレシジョンベース(プレベ)とジャズベース(ジャズベ)があり、エントリー機種の大半はどちらかのコピーモデルまたは両方を折衷した感じのレイアウトになっている。一番数が出ているのはジャズベモデルだと思われる。アジャスタブルポールピースの機種が少なく、弦のテンションに相応な強度を得るのが大変で、音の狂いが面倒な自体を引き起こしやすい、といった条件が揃っており、ギターに比べてローエンドに手を出しにくかったりもする。

以下では両者の細かい違いにも触れるが、ジャズベは「ピックアップを増やした豪華版」だと思っておいてさほど問題ない。レンタルしているところもあり、やはりエレキベースが上手い人の家に行くとたいてい両方あるので、買う前に試せるなら両方試してみるとよい。例によってヤマハさんがBBシリーズで世間の評判を気にすることなく性能向上のための合理路線を貫いていらっしゃるが、入門機種としては少々お高い。

ギターよりもローエンドの選択肢が少ないので、かえって悩みが少ない。プレベとジャズベの違いはネックの幅で、プレベは一般的なエレキギターとほぼ同じ42mm、ジャズベは38mmが代表的なナット幅。フロント(ネック側)ピックアップだけ使っている分にはどちらも大差ない音が出るが、プレベのピックアップはセパレートでハムキャンセル接続(両方のピックアップに同じノイズが乗ると打ち消し合う)になっているので若干扱いやすいか。ジャズベはリア(ブリッジ側)ピックアップもついていている(2ボリューム1トーンが標準的:フルテンにするとハムキャンセルのハーフトーンになり、筆者はけっこう好きな音)。楽器自体の特性とは関係ない話だが、小さめのケースだと「ジャズベは入りません」という製品がけっこうあるの で、ジャズベ持ちの人はチェックしておこう。

座奏メインと立奏メイン、ピッキング方法(ワンフィンガー、レイキング主体のツーフィンガー、オルタネート主体のツーフィンガー、ピック弾き、親指弾きなど)、体格などで適切なディメンション(ボディ形状)が変わるため、理想を言えば、レンタルなどである程度自分のクセがわかってから自分の楽器を買った方がよい。たとえば、ブリッジミュートしながら弾く場合はブリッジが遠すぎるとやりにくいし、ピックアップをサムレストの代用にしながらオルタネート主体のツーフィンガーで弾く場合はピックアップが近すぎると窮屈になる。

ショートスケールのものやコンパクトボディのものは、メリットとデメリットがわかる人向けだと思う。フレットレスや多弦(5本以上)のものも、必要性を感じる人だけ検討すればよい。ハムノイズの影響を受けやすいのでアクティブピックアップのメリットも大きいが、電池が必要になり利便性が下がるし、気合を入れたレコーディングでなければ、そうこだわらなくてもいいんじゃないかという気がする。

筆者のぶっちゃけた見解

プレベタイプとジャズベタイプのネックを握ってみて、気に入った方にしよう。

手広くやっているメーカーというとやはりダダリオ。アコギ用のベーシックモデルはEJ、エレキ用のベーシックモデルはEXL、コーティング弦はアコギ用もエレキ用もEXPが頭について、エレキのライト(レギュラーライト)なら110、アコギのライトなら11が尻につく。ベース用の弦はランドワウンドのEXL160とセミフラットワウンドのENR72とフラットワウンドのECB82がミディアムゲージ。例外もあるが、EJシリーズで数字が5増えるとリンを添加したモデル(たとえばEJ11とEJ16は同じゲージ)、EXLシリーズで数字が50増えるとベース用になる(たとえばEXL110はエレキギター用でEXL160はエレキベース用)。EXPシリーズはコーティングなしの弦と同様のタッチや音色を目指したコーティング弦。アーニーボールもラインナップは豊富。フェンダー、ギブソ� ��、マーティン、ヤマハなどでももちろん扱っているし、コーティング弦で有名なエリクサーもある。

エレキギター弦だと、ダダリオのEXL110やアーニーボールのREGULAR SLINKYあたりが普通、ダダリオのEXL115やアーニーボールのPOWER SLINKYあたりが太め、ダダリオのEXL120やアーニーボールのSUPER SLINKYあたりが細めのゲージに相当する。エレキベース弦だとそれぞれ、160系とREGULAR BASS系が普通、230系とPOWER BASS系が太め、170系とSUPER BASS系が細めの選択肢。アコギ用の鉄弦は、ダダリオのEJ11とEJ16やマーティンのM140とM2100が普通、EJ12とEJ17やM150とM2200が太め、EJ10とEJ15やM170とM2000が細め。

極限ローエンドにはプレイテックのAGSシリーズ(アコギ用)とEGSシリーズ(エレキ用)とEBSシリーズ(ベース用)とCGS クラシックギター弦(これだけ変な名前)、ARIAPROIIのAGSシリーズ(200系がアコギ用、400系がナイロン用、600系がベース用ラウンドワウンド、800系がエレキ用)などがある。一般論として、コストパフォーマンスを考えると数を出しているメーカー(ダダリオやアーニーなど)に圧倒的なアドバンテージがあるものの、自社のギターとセットで出荷できるメーカーも健闘している。

コーティング弦は巻弦の寿命が長いのが特徴だが、メタルピックなどで遠慮なくピッキングすると樹脂が剥がれてくる。エレキギターで指弾きメインなら、このデメリットはあまり気にならない。たいていはプレーン弦にも長持ち加工がなされているが、それでも、プレーン弦の寿命がセットの寿命になる製品が多い。筆者がEXP110とEXL110やEXL110+を比較した限り、きちんとメンテしていれば「コーティング弦の方がちょっと長持ちするかな」くらいだった。またコーティングの種類によってはブリッジアースが弦に落ちなくなる場合があり得る(それで悪影響があるかどうかはギター側の回路による)。

ギター族に限らずスケール(弦長)と弦のゲージ(太さ)を選べる楽器全般について、「小さいゲージの(=細い)弦と短いスケールの組み合わせ」には注意が必要である。細ければ細いほど、短ければ短いほど、弦のテンション(張力)が下がるわけだが、テンションが低すぎるとチューニングがすぐに狂う。さらに、テンションが低く弦高も低いとビビリが出まくるし、テンションが低く弦高が高いと押弦する指の力加減で音が上下しやすい。度が過ぎると楽器が壊れる原因にもなるので、やりすぎには注意したい。また、弦のテンションというと左手の押さえばかりが注目されがちだが、右手の感触もかなり大きく変わる(ある程度テンションのある状態の方が右手はラクだと思う)。

4弦エレキベースのミディアムゲージは.050-.105、鉄弦アコギのミディアムゲージは.013-.056、ライトゲージは.012-.054、エレキのミディアムゲージは.011-.048、ライトゲージは.010-.046、エレキのフラットワウンドライトゲージは.012-.052くらい(メーカーや製品による:表記はたとえば「.010-.046」なら「1弦が0.010インチで6弦が0.046インチ」の意味)。なお、本来的には太さではなく重さがテンションを左右する(同じ太さでも、重い素材や密な巻き弦なら高いテンション、軽い素材や粗な巻き弦なら低いテンションでないと、同じ音程にならない)のだが、慣例として太さを基準にすることが多い(巻き線がみっちり詰まったフラットワウンドなどは太さの割にテンションが高いので、使う人は覚えておこう)。

鉄弦のアコギはミディアムゲージがやはりよく鳴るが、ライトゲージでもライトゲージなりの音色が得られる(どちらがよいというものでもない)。ヘビーゲージはスライドギターやダウンチューニングでの利用が大半で、楽器がテンションに耐えられることを確認しておいた方が無難(強度は足りても、ナットやサドルなどの加工が必要になる場合がある)。ピックアップの特性上高音域がウルサくなりがちなエレアコでは、ライトゲージが好まれる。エレキは楽器によって扱いが異なり、フルアコなどでは大きめの(というかアコギに近い太さの)ゲージが、ソリッドなどでは小さめのゲージが好まれる(もちろん例外はある)。ソリッドボディのエレキだとラウンドワウンドのライトゲージが一般的だろう。フルアコ用に3弦巻弦でア コギ準拠ゲージをラインナップしているメーカーもある(ダダリオならEJシリーズなど)。ベースの場合は普通にレギュラーゲージがスタンダード。

筆者の好みを言えば、エレキギターやエレアコならライトゲージ、ベースならロングスケールにレギュラーゲージくらいがよさそうに思う(すでに触れたように、楽器に適合するテンションでないと壊れるので、必ずこの通りにできるとは限らない)。傾向として、太くて短い弦だと狂いが大きくクセのある音色、細くて長い弦だと狂いが小さく澄んだ音色になりやすいことは、覚えておいて損がないだろう。

筆者のぶっちゃけた見解

エレキギターならダダリオのEXL110かアーニーボールのREGULAR SLINKY、鉄弦のアコギならダダリオのEJ11かマーティンのM140、エレキベースならダダリオのEXL160をとりあえず試せばいいと思う。コーティング弦はソフトな弾き方に適するがアースが浮く可能性に注意。

MIDI鍵盤

まずサイズの問題がある。机の横に置きっぱなす場合、61鍵あると明らかに邪魔である。また、片手しか使わなくても「曲」を弾こうと思うと25鍵では普通足りない。じゃあ37〜49鍵ならジャストフィットかというとそんなことはなく、微妙にデカいし両手で弾くには足りない。

メインの鍵盤が他にあるのかどうかでも選択肢は変わる。筆者としては、音源内蔵の鍵盤が1つはないとメンドクサイし、ハードウェア音源の代用にもなるので、メイン鍵盤は別に用意して、打ち込みの入力補助も最初はそれで賄い、不便を感じたらMIDI鍵盤の導入を検討するのがよさそうに思える(実際に自分でやってみれば、どの程度のものが必要かもなんとなくは予想できるはずだし)。

鍵盤を2台(以上)使うとなるとMIDI入力用にはコンパクトなものが欲しくなるわけで、そうすると25鍵のもの(フィジコン機能が貧弱なものが多いが、豪華なフィジコンが必要な場面ってそんなにないと思うし、必要な人は専用機を使った方が幸せそうな気もする)が無難なのかなといったところ。

機能としては、アフタータッチが必要かどうかだけ確認すれば、あとは似たようなものなんじゃないかと思う。

筆者のぶっちゃけた見解

メイン鍵盤をマトモに使い込んでから考えよう。


どのように雨鳥の調整ネジ

メイン鍵盤

さてそのメイン鍵盤。61鍵あればとりあえず曲は弾ける(と思う)。よほど凝った曲を弾かなければ88鍵は必要ない(アコピの場合音色操作のため多めに弦を張った機種もあるが、電子楽器なら関係ない)が、端っこの鍵盤をコントローラーとして使う(楽器本体の操作ができる機種もあるし、MIDI信号をソフトウェアで変換して一種のフィジコンとして使うこともできなくはない)用途もあるので需要と相談。ウェイテド、セミウェイテド、ウェイトなしは好みと持ち運びの都合で選べばよい。

音源は内蔵していた方が便利だが、そう凝ったものでなくてもよい場合が多そう。外部音源としても使う場合、オーディオデータをデジタル出力できると便利だろう。XG系(ヤマハ)とGS系(ローランドなど)で仕様が違うことには一応注意。MIDI端子がなくUSB接続だけの機種は、パソコンの電源が入っていない場合の利用に制限が生じることがある(何の不都合もない場合ももちろんある)。MIDI鍵盤を別に用意する場合はとくに、フィジコン機能に大げさなものは必要ないことが多そう。

まあなんといっても「楽器」としての利用が主目的なわけだから、弾きやすさを最優先して選ぶのがよろしかろうと思う。電子楽器であれば音源は(変えようと思えば)変えられるので、あまりムキにならなくてもよいかもしれない。いちおう、XG系かGX系かは把握しておいた方が無難というくらいだろう。ピアノ音源などはやはりメーカー製のものの品質が高いので、外部音源としての利用も普通に便利である。自宅で鍵盤の録音や編集をするなら、電子楽器が1台はあった方がよい。

筆者のぶっちゃけた見解

電子楽器の中から弾きやすさ優先で。

アンプ

パワーアンプとかマイクアンプとかの話ではなく、楽器用アンプの話。

まず確認しておくべきこととして、大型アンプとポータブルアンプで同じ音は出ない。デジタルのアンプシミュレータを使う場合も(程度は異なるが)事情は同じで、自宅の5インチモニタから出しているときとスタジオやステージで15インチのPAスピーカから出すときで「同じ音」には決してならない(というか、リスニングポイント(点)で最高のパフォーマンスを目指す普通のスピーカと、オーディエンスエリア(面)で平均パフォーマンスや最低パフォーマンスを考慮するPAスピーカは、根本的な設計思想が異なる)。

とくにステージでは、望みの音を手元で作るところまでが奏者の仕事、それを「許容範囲の変化」に留めたまま客席まで届けるのがPAの仕事と分けて考えないと、話が妙なことになる(もちろん、PAの仕事がスムーズに運ぶような気配りができるに越したことはないが、それは奏者の仕事をキッチリこなせる上級者がさらなる上積みとして考慮すればよい問題)。また、PAで自前のアンプを使う機会はストリートくらいである(「飲み屋イベント」系ならないではないが、それだって「物持ちなベテラン」が気合で持ってきたアンプをみんなで使うのが普通:良識として、荷物運びくらいは手伝おう)。

また、コンボアンプやアクティブスピーカのワット数は最大音量を決める支配的な要素ではない。まずモノをいうのはスピーカユニットの能率(大きくて軽いユニットほど高能率になり、大きさの方がより強く影響するようだ)で、JBLのウーファー130AとフルレンジD130がそれぞれ101dbSPL/W@1mと103dbSPL/W@1m(ギターアンプ用の12インチユニットも100db前後が多く、ベースアンプ用だと少しだけ低能率のものが増える気がする)、FOSTEXのウーファーFW108NとフルレンジFF80がそれぞれ86dbSPL/W@1mと81dbSPL/W@1m(3インチ前後のフルレンジには80〜85dbくらいのものが多い)、もし性能が数字通りなら、D130に1W入れる方がFF80に100W突っ込む(耐入力10Wなので多分焼き切れるが、仮に突っ込めたとして)より正面@1mの音が大きい計算になる。また低域は� �ンクロージャの影響も強く受け、単純な無限大バッフルと完全逆相バスレフ(どちらも現実にはありえない)で比較すると約6db差がある。高域は指向性の持たせ方でどうとでも変わる。

アンプのワット数を考慮するべきなのは、セパレートアンプやパワーアンプ+パッシブスピーカなどを導入する場合で、最大出力でスピーカが壊れないかどうかや十分な音量が得られるかどうか検討する材料になる(パワー段がチューブの場合定格よりも大きな出力が生じることが多いので注意)。とくにセパレートアンプでキャビネット歪みを得たい場合には、最大出力で壊れず常用出力で歪んでくれるキャビネットを探す必要がある(楽器用のキャビネットには歪みやすく作ってあるものが多く、マーシャルの1960だってアンペグの8発だって10Wも突っ込めば歪んでくれる:歪ませないために全力を尽くしているハイファイ系スピーカとは設計思想からして違う)。なお、パワードスピーカやアンプの消費電力は、アンプの効率まで絡ん� �くるので、最大音量を考える際にはアンプの出力よりもさらに意味の薄いパラメータになる。

ギターアンプやベースアンプの場合はとくに、キャビネット(アンプのスピーカ部分)から出す音とラインアウト経由で普通のスピーカから出す音がかなり異なることに注意。楽器用アンプのラインアウトから出す信号はあくまで「キャビネットへの出力」を分岐したもの(あるいはセンドリターン用)であって、別のキャビネットを鳴らしたい(またはキャビネットシミュレータに通したい)場合には使えるが、モニタスピーカやPAスピーカを直で鳴らすのは本来の用途ではない(音のクセが好みなら、使っていけないわけではもちろんない)。ラインand/orヘッドフォン出力にキャビネットシミュレータを噛ましている機種もある。

デジピなどではあまり問題にならないが、エレピやエレキギターのようなエレクトリック楽器、エレクトロニック楽器でもエレドラムのようにタッチノイズが大きなものでは、奏者に聴こえる音とアンプの向こうに届く音がかなり異なる。比較的簡単な実験としては、アンプシミュレータからの直接出力を、モニタスピーカ(または開放型に準じる構造のヘッドフォン)で出す場合と、マイク録り用モニタヘッドフォン(KOSSのQZ99とかVIC FIRTHのSIH1のような遮音性が極端に高いもの)で出す場合を比べてみるとわかりやすい。

ギターorベースの場合、スピーカミュートに適したアンプ(ようするにヘッドフォンorラインアウトを「メインに」している機種:キャビネットを使わずにキャビネットの「ような」音を出したいのだから、結局シミュレータ系になる)が1つはあった方がよいと思う。少ない騒音で練習できるメリットはもちろん、録音も簡単だし、ステージで使う場合も同じ環境を利用できる。アナログのチューブシミュレーターは構造的にクランチサウンド(弱く弾くとクリーンっぽい音、強く弾くとドライブっぽい音、中間だと微妙に歪んだ音になる設定)が苦手なものが多いが、それ以外の性能はかなりよくなってきており、筆者が使っているBEHRINGERのGDI21(TECH21のSansAmpシリーズのパチモノ)は、たいへん使い勝手のよい音が出る(ただしこの機種� �ミキサーに入力する使い方が本来のようで、単機だと活用にある程度の制限がある:リンク先参照)。

いわゆるデジタルマルチを使う場合、とくに凝ったギミックを装備している機種でなければ、本体にペダルがついているメリットは薄い(ペダル入力さえあれば、必要になってから足せば事足りる:頻繁に持ち運ぶ場合荷造りと荷解きが多少面倒にはなるが、本体とペダルを別の場所に置ける分自由が利く)。どこのスタジオやライブハウスに行っても、マーシャルのJCM2000(またはJCM900、たまにJVM系)、フェンダーのツイン(なかでも65ツインリバーブの復刻版と、たまに2001年リニューアル版)、ローランドのJC-120、ベースアンプならアンペグのSVT(たまにハートキーやトレースエリオット)が定番なのは変わらないので、これらを一通り試したうえで好みのものを見つけ、シミュレータも「それっぽい感じ」のものを選べばよいのではな いかと思う(すでに触れたように「同じ音」は決して出ないが「雰囲気が出ている」ものはけっこうある:実用的には、雰囲気だけ出してくれた方が便利だったりもする)。

2012年3月現在の筆者の認識では、エレキギターの6弦開放を「なんとか鳴らし切る」ために、ノーマルなギターアンプスタイル(背面開放や密閉型のキャビネット)なら6〜6.5インチ、普通のバスレフで5インチ前後、凝ったバスレフ+ツイーター構成でも4インチくらいのユニットがギリギリのラインになると思う(ベリさんなどカツカツの構成をしないメーカーはワンサイズくらい大きな製品をラインナップしている)。もちろん、全音域を鳴らし切らなくても演奏を楽しむことはできるので、ミニチュアアンプに出番がないわけではない(筆者が試したものではVoxのAC1 RhythmVOXが面白かった)。

キーボードアンプは必要な人だけ導入すればよいだろう。電力や形状の制約から楽器本体のスピーカは補助的にしか使えないことも多いが、電子楽器の場合楽器内部で音が完成するので、アンプがなければ楽器の音にならない電気楽器とはかなり事情が異なる。ステージで使う場合、モニタはヘッドフォンで行った方が無難である(スピーカを使う場合は自前で用意した方が便利)。

チューブアンプは面白いツールで、筆者もBEHRINGERのMIC200という極限ローエンド機種(ARTのTUBE MPシリーズのパチモノ)を愛用している。しかしチューブアンプ一般について、温度が安定するまで出音も安定しないとか、真空管(球)の寿命をケアしなければならないとか、発熱が大きいとか、ノイジーになりがちだとか、メインとして常用するにはちょっと面倒な話が(機種によって程度は異なるが)いくつかある。まあモノとしては面白いので、好きな人はサブアンプとして導入してみてもよいかもしれない。

また真空管をどこに使っているかで「チューブアンプ」の意味合いが変わってくる(プリアンプ部分に組み込んだいわゆる「プリチューブ」がもてはやされる傾向があるようだが、筆者はMIC200のようなイフェクタ的な実装が好き:楽器用ハイブリッドアンプにプリチューブが多いのは、大出力のパワーアンプ段をチューブで作ると非効率だというのが主な理由だと思われる)。単純にチューブっぽい歪みが欲しいだけなら、アナログ回路でのモデリングもあるし、デジタルシミュレータももちろん数多くある(本当に手ごわいのはチューブ歪みよりもキャビネット歪みで、2011年現在、シミュレータで「気分よく」再現するのはかなり難しい)。なお、真空管で増幅すると超音波域の歪みが生じるのは事実だが、実機アンプではそれを12イン� ��のフルレンジに突っ込んでいることを忘れない方がよいと思う。

筆者のぶっちゃけた見解

ギターorベースならローエンドのデジタルマルチorアンプシミュレータからアンプ機能メイン(または単機完結型)のものを。少なくとも「アンプで音を作る」ことを覚えるまでの期間、シンプルさは多機能さに勝る(そしてその期間に限定した投資と考えてもローエンド機種なら十分ペイする)。鍵盤なら必要性を感じてから検討するのが吉。チューブアンプは面白いがメインにするとやや面倒。

ドラムスティック

ドラムセットのことはよくわからないのでスティックだけ。


ヘアカーラー、どのように働く

どれを選んでよいかわからないなら、有名メーカーが出しているヒッコリーの5Aで、特殊形状でないウッドチップのものを選べばだいたい問題ない。同じ5Aでもメーカーにより寸法が異なり、TAMAやPROMARKは14.0mm×406mm、LUDWIGは15mm×390mmくらい(多分)、VATERは14.5mm×404mm(重心を先端に寄せたロサンゼルス5Aも同寸法)、Vic Firthは14.4mm×407mmとバラバラである。ようするに、径が14〜15mmくらいで長さが40cm前後のものが標準サイズになる。

チップの形状についてはいろいろなことが言われるが、まず押さえておくべきなのは、チップで叩くのは主にスネア、ライド、ハット(オマケでタム)であるという点だろう。大まかな傾向として、ライドのピン打ち>スネアの普通ショット>スネアのリムショット>ハットのピン打ちくらいの順で「先端に近い部分」が楽器に当たることも把握しておきたい。

もそもタイコとシンバルを同じスティックで叩くことにムリがあるとか何とかいう話はさておき、スネアドラムの場合、広い接触面積で叩くと迫力のある(理屈上はピンクノイズなどに近い)音、狭い接触面積で叩くと澄んだ(理屈上は周波数分布にピークやディップが多い)音になりやすい(のだと筆者は理解している)。いっぽうライドのピン打ちは、側面が平べったいチップの方が高音域の豊富な音になり、ハットはライドほど音が変わらない。セッティングでなんとかなることが多いが、チップの形状によりライドのカップ打ちがやりにくい場合もあるのでいちおう注意。またスティックを振り下ろす方向とチップが楽器に当たる面が垂直から大きく離れると(たとえばチップのギリギリ先端を使おうとすると)力が逃げてカスっ� ��ような音になる。

もっとも特徴が出るのはやはりライドのピン打ちで、シンバルレガートをやる場合などはこの音色が選択基準になることも多い。が、結局好みと曲によるので最初はあまりこだわらなくてよいと思う。とりあえずのチョイスとしては、リムショットに迫力が出る樽型(俵型)に近い形が無難かなという気がする。そこから出発して、カドを斜めに削ったドングリ型(アコーン)やカドを丸めた楕円型あたりに手を出してみると手っ取り早いのではないか。

また、14.5mm×400mmくらいの「太めで短め」モデルと14.0mm×405mm前後の「細めで長め」モデルを試してみると、バランスの違いによる演奏性の変化がわかりやすいと思う。重量の違いも小さな要素ではないが、重心位置(基本的にはチップの体積とショルダーの形状が支配的に左右し、当然のことながら、たくさん削ってあれば先端が軽くなる:とくにチップは、TAMAのTCP10Dなんかを試すとわかるが、少し重くなっただけで重量バランスが大きく変わる)の影響の方が大きいし、長く持つか短く持つかでのコントロールを先に追及すべきだと思う。

購入に関する注意として、個体差が大きい製品なので手に取って現物を確認してから買うようにしたい。マーチングスネアに使う前提で設計されたモデルも(とくにトラディショナルと称するラインナップに)多いが、用途がドラムセットでもあまり気にせず使い回している人が多いようだ。筆者自身のチョイスについては別ページに掲載している。

要約

とりあえずヒッコリーの5A。

筆者のぶっちゃけた見解

Pearlの110H、VATERのVSMRECW、PROMARKのTX5ASWがお気に入り。

ミキサー、ヘッドフォン、ヘッドフォンアンプについてはパソコン周辺のページを参照。

モニタスピーカ

ヘッドフォンだけでのミックス作業には限界がある、というのは正しい。どういう限界があるのかというと、スピーカ再生に最適化した編集ができない(当然、スピーカだけでのミックス作業にも限界があり、ヘッドフォンに最適化した編集ができない:「デカいスピーカでちゃんと鳴れば他でも大丈夫」的な論調をたまに見かけるが、まったく的外れである)。

ということで、スピーカ再生を前提とした編集作業をする場合どうやってもスピーカでのモニタが必要なわけだが、真面目にやるのなら、ちゃんとしたスタジオのモニタ設備を使う以外に選択肢はない(プロのスタジオでも「万全の」モニタ環境が揃っているトコロは少なく、設備が足りない所では精密なモニタが必要な作業だけ外注に出している)。

自宅で作業するなら、普通のステレオコンポのスピーカがあれば十分だろう。せいぜい欲張っても、5インチクラスのスタジオモニタ(を一般住宅で活躍させるのがどれだけ難しいか、ピンとこない人はムリに導入しなくてよいと思う:ただし、いろいろな環境での再生を考慮しているなら、極端に小さくないスピーカが1組は欲しい)で十分以上である。また、スタジオ用モニタスピーカの導入を検討する場合、リスニングに流用できるとは考えない方が無難。

面倒な話が続いたが、種類や性能がどうこうよりも、デタラメな環境に設置したスピーカの音を「参考程度」以上に信用するなということに尽きる。信用できるスピーカの音が欲しければスタジオ(ただし少なくとも音楽編集専用の設備があるところ)に行こう。

要約

一般住宅で使うならテキトーでよい。スピーカ前提の音を作るなら何かしらのスピーカは必要だが、テキトーな音が出ていることは忘れないようにしたい。

マイク

極限ローエンドについては、ローコスト制作の感想コーナーにある安いマイクのページを参照。CM5(とコンデンサマイクに手を出すならC-4やC-1も)は「持っておいてもいいかな」という気がする(他にお気に入りのマイクを持っていても、荒っぽく扱わざるを得ない場合や出先で使いたい場合に出番があるし、単純に予備を用意しておく意味でも有効)。PDM-57は・・・本家のSM57がかなり安いからわざわざパチモノじゃなくてもいいかなぁ。

あとは録音する楽器や環境などに合わせて必要なものを必要なだけそろえればよいと思うが、ラージダイヤフラムのマイクや指向性切り替え式のマイクはクセが出やすいという傾向は覚えておいた方がよいだろう(クセを出したいときと出したくないときがあるだろうから、どちらがよいというものでもない)。また他のページでも繰り返しているが、指向性がキツいもの(「超」とか「鋭」とか「スーパー」とか「ハイパー」とかが頭につくもの)は近接効果(音源に近付けると低音が強まる)や軸外特性(マイクの真正面以外から入った音のキャラの変わり具合)の乱れが大げさになりがちである。これらは必要性と使い方がわかって実践できる上級者専用だと思ってよい。

ヴォーカル用にコンデンサマイク(人間の息はかなり湿っているので使った後のメンテナンスには気を使おう)を用意する場合、外付ショックマウント前提の機種よりもハンドマイク形状(極限でないローエンドだと、オーディオテクニカのAT2010やSHUREのSM86やAKGのC5など:ステージ用に超単一指向性の機種が多いので注意)の方が無難である。アコースティック楽器のオンマイク録音では「楽器全体が鳴る」(指向性マイクをオンで使うとクセが強く出る)ということを忘れないようにしたい。低音用マイクは、ローが足りないときにメインマイクに被せる用途があるので、極限ローエンドのものでも1本あると便利かもしれない。オフ用のマイクもあるに越したことはないが、活用する機会があるかどうかちょっと疑問でもある(筆者自身� ��、わざわざオフ専用にマイクを持ち込んだ経験はないし、自宅でオフマイク録音をやってみようという気もない)。

要約

CM5(やC-4やC-1)は持っておいて損はなさそう。あとは用途に合わせて、というか用途に合わせられるようになってから。

MTR

録音にももちろん使えるのだが、マルチイフェクタとしてもポテンシャルが高そうな(というか、どーせデジタルなんだから同一メーカーが出している単体デジタルイフェクタとほぼ同じモノが入っているのだろう、と推測できる)機種がある。ミキサー兼務タイプなら小規模PAへの流用もラクで、MTRの他にはマイクとアクティブスピーカだけ用意すれば事足りる(一種のワークステーションとして機能する:マルチソースでクリーンデータを残したい場合も根元で録音できるため、バス数などに不足がなければ、入り口ミキサーに代えてMTRというのは録音でも魅力的)。

ローエンドで筆者の目に付いたのは、ローランド(BOSS)のMICRO BR BR-80とZOOMのRシリーズで、順番だけ固定でモジュールを選ぶ方式のイフェクタを搭載しており、サウンドカード動作と電池駆動が可能。どちらもギターorベース用イフェクタで有名なメーカーなのでその方面では期待できそうだし、ラインナップが薄いヴォーカルプロセッサ(ディエッサーとかプリアンプシミュレータとか)を搭載しているのも嬉しい。ただしどの機種も、筆者は実物を見たこともない。

BR-80はコンパクトサイズが特徴。モデリングイフェクトも当然のようにJC-120やらOD-1やらが入っている(本家だからモデリングが上手いとは限らないが、本家様はやっぱり本家様である)。ピッチコレクトが入っているのも面白いし、変調系やステレオイフェクトにも期待できそう。ネックになりそうなのはやはり操作性で、2011年9月現在筆者が斜め読みした限り、公式ドキュメントにパソコンからイフェクトセッティングをイジれるような記述は見当たらなかった。アナログ出力がラインヘッドフォン兼用端子1つだけなのはサイズ的に仕方ないか。

R16はマルチチャンネルが特徴。ストレートフェーダーとファンタムを装備したミキサーとしても使えるし、サウンドカードとしてもマルチチャンネルが(必要な人には)活きるだろうし、フィジコンとしても動作するし、ストレージに対するUSBホスト動作もできるし、イフェクタも標準的なモノは一通り揃っている。ネックになりそうなのは置き場所だろうか(ミニコンポサイズよりも微妙に幅がある)。パソコンからのイフェクトセッティングはやはりできない模様。またカタログスペック上R8よりも電池がもたない(ACアダプタで使うなら関係ないが)。

R8は同時2入力仕様の廉価版でR16との差額は大したものではないのだが、後発だからか、48KHzサンプリングで単体録音できたり、フットスイッチ端子があったり、ファンタムが24/48V切り替え式だったり、オマケでリズムパッドとサンプラーがついていたりする。サイズもR16より一回り小さく重量も軽い。マルチチャンネルが(将来的にも)必要ないならR16よりはR8かなという気がする。

ミドルレンジにさしかかってもやはりZoomとローランド(BOSS)の一騎打ち状態は変わらず、R24かBR-800ということになるのだろうが、筆者の好みで言えば断然R24。MTRとしての基本機能がしっかり練ってあるのがよいし、妙な独自規格や自社製品の囲い込みを振り回していないあたりにも好感が持てる。

要約

デジタルMTRがあればけっこうなんでもできてしまう。コンパクトサイズのBR-80、同時入力数以外はフル機能のR8、安価なマルチチャンネルのR16といったところ。

筆者のぶっちゃけた見解

R24が欲しい。

ハードウェアとノイズ

ここではどの機種がどうのこうのという話題には触れない。

新品で買ってきたイフェクタやミキサーやアンプなどの電気機器が「あり得ないほどノイジー」な場合、電源を入れっぱなして数時間くらい放置しておくと直ることがある。これは故障や初期不良とは少し違い、通電なしで長期間経過すると回路内の漏れ電流が増えることによる自然現象である。頻繁に使っている場合も、電源を入れて1分くらいはウォームアップだと思うのが無難(慌てて「電源アダプターでノイズが激減」なんて騒がないように)。


「グランドリフトスイッチ」がついた機材について、とくに必要がありグランドをリフトすると電気的にどのようなことになるのか理解している場合を除き、グランドは「接続」のままイジらない方がよい。一般家庭や普通のリハスタで使う規模の配線だと、グランドをリフトしてメリットが得られることはまれである。というか、もしグランドが「繋いでも害しかない線」なのであれば、最初から繋ぐ人はいない。

音響機器は、ライン用、マイク用、ハイインピーダンス用、スピーカレベル用に大きく分けられる。それぞれ扱える電流やインピーダンスなどが異なるので、用途に合ったものを使おう。また、マイク信号やハイインピーダンス信号(エレキギターの出力など)はさっさとアンプ(またはアンプを兼ねる機器)を通してしまった方が扱いがラクである(アンプ(のライン出力)より後ろではライン信号に準じる扱いができる)。

要約

新品なのに調子がおかしければ電源を入れて数時間放置。グランドはむやみにリフトしない。機器は用途にあったものを。

ケーブルとかコネクタとか

数を使うので意外と費用がかかる。自宅環境だとステレオフォンプラグ(TRS)とピンプラグ(RCA)の出番が意外と多い。

ステレオフォンは本来のステレオ伝送でも使うが、ラインレベルのモノラルバランスに使う機会がある(ミキサーのメインアウトからサウンドユニットのライン入力などでキャノン出しのフォン受けもやるのだが、デュアルケーブルのラインナップが薄い)。フォン<>フォンのケーブルは単品で買うとうっとおしいので、筆者は長めのパッチケーブルセットで代用している。

Y字ケーブル(二股ケーブル)もフォンやピンのものが多い。センドリターン用のもの(インサーションケーブル)は仕様(グランドの浮き/接続に注意)によってはステレオ<>モノ2本の変換ケーブルとしても使えるはず(ステレオフォン<>ピン2本タイプはこの用途のものが多いのかな)。

ピンプラグは単品ではあまり使わないが、コアキシャルケーブルの代用に(ムリヤリだが)なるのと、変換や分配や選択に関わる機器が豊富なので出番がある。たとえば、ローエンドのオーディオセレクターを使おうと思うと、たいていピンプラグに変換する必要がある。

変換アダプタを直接機器のジャックに取り付けると、ムリな力がかかりやすくなり故障の元なので、できれば機器>ケーブル>アダプタ>ケーブル>機器のように、変換部分をケーブルの間に持っていく形が望ましい。

重要な注意
スピーカや楽器用アンプなどへの経路にあるプラグやジャックやケーブルなどについて、接触不良や断線がないよう十分気を配りたい。もし接触不良や断線があると、アンプのボリュームを上げたまま配線を抜き挿しするのと変わらない状況になる。

非常に重要な注意
PAで使うケーブル、とくに大電流が流れ得るもの(電源周りやパッシブスピーカへの出力)は、靴で踏まれたり、機材の下敷きになったり、荷物を満載した台車のキャスターが通過したりといったことが必ず起きるという前提で選び、ノーメンテで同じものを使い続けるのは避けよう。また、仕様で定められた上限を超えた電流が流れないようしっかり対策しよう。

要約

意外と金食い虫なので必要数がわかってから製品を選ぶのが吉。変換はできればケーブルとケーブルの間で。PAには丈夫なものを使いこまめにチェックとメンテをしよう。

あまり頑張るとエラいことになるのでホドホドのところで手を打ちたい。

レイアウトの原則

タワー型のパソコンは普通、机の左側に置く前提になっている(台座面が右、左側は吸排気口になっていて、塞ぐとエアフローがまずいことになるし、メンテの都合からもパソコンの右側が机に接する形が便利)。パソコンの左側からは音声ノイズも出るわけだが、これを壁に当ててしまうと反射がうっとおしい(音楽用でなければ、足元の右側に置く手があるのだが)。ので結局、部屋の真ん中を使えるのでなければ、右側に壁があった方がよい。ここまでで、前と右に壁がある場所に机を置いて、左側にパソコン、というのが無難なのがわかる。

お次は配線。電源は、できれば机の左側から取ってきたい(机の裏でケーブル類が混沌とするのを少しでも避けたいので)。LANケーブルも左側から引き回せるとなおよい(性能の問題もさることながら、部屋の中に無駄な電磁波源を置かないためにも、無線LANは避けたい)。この条件だと、楽器類は自然と右側に集中することになる。だいたい、右利きの人なら鍵盤は右に置くだろうし、ギターやベースのシールドも右から出ている(置き場所が左側だと出し入れがメンドクサイ)はずである。

ではラックとミキサーはどこに置こうか。ラックを2つ置ける人は、両ラックの連携にだけ気を配れば問題ない。ラックを1つしか置けない場合、ラックマウントのパソコン周辺機器の有無(USBやFireWireを長く引き回したくない)や、マイクスタンドの有無と数や、弾き語りを録音する機会の有無と使用楽器などで事情が変わる。

ラックマウントのパソコン周辺機器があり、鍵盤でもギターでも弾き語りをするなら、マイクスタンドは机の右後方か右前方、ラックは机の左前方か右前方に置くのが無難かなという気がする。

要約

楽器が右でパソコンが左だと便利。部屋の真ん中を使うのでなければ壁は右側が理想。

筆者の感想

世の中右利きが便利にできてるのは仕方ないところ。

カーテン

一般住宅で「窓がない部屋」(法的には「居室」として認められず「納戸」「サービスルーム」などとして扱われる)というのは珍しく、マイク録音やスピーカモニタをする場合は(吸音パネルのようなものを用意するのでなければ)カーテンが必須になるだろう。性能を考えると本格的な遮音カーテンがいいのだろうが、なにしろ高いし重い(というか、重くないと本格的な遮音はできない)。カーテンレールから取替えとなると、相当大掛かりになってしまう。

そこで筆者は、厚手のカーテン(ドンキホーテで買ってきた安眠カーテン)を窓側、普通のカーテンを部屋側に吊るす構成にしている。厚手のカーテンを窓側にするのは、少しでもカーテンレールへの負荷を小さくするため(同じ重さでも、部屋側に吊るすとてこの原理で負荷が大きくなるはず)。両方のカーテンを閉め切ると、ないよりけっこうマシ程度の効果はある。

ただし、上記の使い方でもカーテンの種類や湿度(による布の重さ)の変化でカーテンレールや窓枠が壊れない保障はないのであしからず。

要約

重いものを使いたいがレールが壊れないように工夫が必要。

エアコンなど

スタジオを作るなら、エアコンは必須である。気密性の高い部屋に熱に弱い機材を並べてガンガン電気を使うのだから、ないとお話にならない。一般住宅でマイク録音する場合、エアコンを一時的に止めるのはそれなりに有効だろう。

暇つぶしにどうぞ。

スケールとテンションの関係

詳しい話は省略するが、他の条件が同じでスケール(弦長)がn倍になったら、テンションを√n倍にしないと同じ音高にならない(スケールが長いとテンションが高く、スケールが短いとテンションが低くなる)。以下代表的と思われる呼称と数字を勝手に採用し、計算結果は適当に丸めた。

エレキギターのレギュラースケール(25.5インチ)とミディアムスケール(24.75インチ)の場合:
レギュラースケールからミディアムスケールを見るとテンションは0.98518倍、ミディアムスケールからレギュラースケールを見るとテンションは1.01504倍になる。大雑把にいって「1.5%くらい」テンションが変わることになる。同じテンションでスケールだけ変えると51.68セントの変化。

エレキギターのレギュラースケール(25.5インチ)とショートスケール(24インチ)の場合:
レギュラースケールからショートスケールを見るとテンションは0.97014倍、ショートスケールからレギュラースケールを見るとテンションは1.03078倍になる。大雑把にいって「3%くらい」テンションが変わることになる。同じテンションでスケールだけ変えると104.96セントの変化。

鉄弦アコースティックギターのノーマルスケール(25.4インチ)とショートスケール(24.8インチ)の場合:
エレキギターのレギュラーvsミディアムとほぼ同じなので省略(メンドクサイ)。

エレキベースのロングスケール(34インチ)とミディアムスケール(32インチ)の場合:
ロングスケールからミディアムスケールを見るとテンションは0.97014倍、ミディアムスケールからロングスケールを見るとテンションは1.03078倍になる。大雑把にいって「3%くらい」テンションが変わることになる。ギターのレギュラースケールとショートスケールの場合と比が同じ。

エレキベースのロングスケール(34インチ)とショートスケール(30インチ)の場合:
ロングスケールからショートスケールを見るとテンションは0.93934倍、ショートスケールからロングスケールを見るとテンションは1.06458倍になる。大雑把にいって「6%ちょっと」テンションが変わることになる。同じテンションでスケールだけ変えると216.69セントの変化。

グランドピアノの大型タイプ(低音弦で2mくらい?)と小型タイプ(低音弦で1.5mくらい?)の場合:
大型タイプから小型タイプを見るとテンションは0.86603倍くらい、小型タイプから大型タイプを見るとテンションは1.15470倍くらい。まあ最初の数字が当て推量なので信憑性はないに等しいが、15%くらい違うのかなという結果になった。

エレキギターでは、ショートスケールのレギュラーチューニングとレギュラースケールの半音下げチューニングがほぼ同じテンションになる(1フレ〜4フレ間の距離を単純計算すると、ショートスケールで91mm、レギュラースケールで97mm:フレットの厚さなどは無視)。エレキベースのミディアムスケールとロングスケールも同じ関係(1フレ〜4フレ間の距離を単純計算すると、ミディアムスケールで122mm、ロングスケールで130mm)。

なお、たとえばEXL110の合計テンション46.98kgとEXL110+の合計テンション52.12kg(どちらもパッケージ裏面記載の値を単純合計)を比べるとだいたい1割くらいの変化、EXL120+の合計テンション(公式サイト掲載値)41.18kgとの比較だと8分の1くらいの変化になり、半ゲージの違いでもベースのロングvsショートよりかなり差がある。つまり、テンションは弦のゲージが支配的に左右し、スケールはあまり関与しない。

というか、488mmスケールのキッズギターでさえ、ヘビーゲージ(ダダリオならEXL140)を張ると、ライトゲージ(同じくダダリオならEXL110)を張ったレギュラースケールギターと(同じチューニングで比較して)ほぼ変わらないテンションになる(ナットやサドルの溝の幅が足りるかどうかは別として)。

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